第53回 隔離、環境と遺伝、格差とナショナリズム

桜が咲き始めた4月のはじめ、武田が久しぶりに司会をつとめる。
『バイオ化する社会』を上梓した粥川は、精神疾患を持つ女性への強制的な中絶・不妊手術について論じた、生命倫理学者アーサー・カプランによる記事を紹介。山下は「環境要因と遺伝子のつながりについて」、赤木は萱野稔人著『ナショナリズムは悪なのか』を基に話題を提供する。
(2012年4月6日収録)

参加メンバー
・赤木智弘
・粥川準二
・山下祐司
・武田徹

 

◆第53回を視聴(01:22:40)

 

◇chapter 1 「隔離」の是非【粥川】[0:00〜0:33]
今年のはじめ、精神疾患を持ったある女性に対して、強制的な中絶と断種を受けることとする判決が下された。しかし、米国・マサチューセッツ州の検認裁判所によるこの判決は、後に上級裁判所で覆されている。その理由とは?
この件について生命倫理学者アーサー・カプランがmsnbc.comで執筆したエントリーを基点に議論を展開する。「遺伝学的な隔離は正当化されうるのか、されうるとしたら、その条件は何か?」

> 「断種、強制中絶は決して答えではない」(みずもり亭日誌2.0)
> 精神障害者への強制中絶・不妊手術命令を、上訴裁判所が破棄(米)(Ashley事件から生命倫理を考える)
> 神保哲生編『ユニバーサルデザイン第2期―つながる・ささえあう社会へ〈2〉持続可能な社会をつくるユニバーサルデザイン』あかね書房
> 『風化する光と影―東日本大震災特別リポート “メデイアから消えつつある震災”の中間報告 (マイウェイムック)』(E-lock.planning)
> 粥川準二『バイオ化する社会 「核時代」の生命と身体』(青土社)

 

◇chapter 2 環境要因と遺伝子のつながり【山下】[0:33〜0:50]
「社会経済的地位(socio-economics status)によって、大人になったときの健康が「遺伝的に」決定される」? これまで、疫学的な視点で語られることの多かった「健康格差論」に向けられる、分子生物学的アプローチ。イギリス・グラスゴー大学による研究報告の内容とは。

> Socio-economic status is associated with epigenetic differences in the pSoBid cohort (International Journal of Epidemiology)

> DNA shows link to ill health in Glasgow (BBC)

> DNA methylation may be associated with health inequalities(BMJ)

 

◇chapter 3 ナショナリズムに救われる?【赤木】[0:58〜1:22]
『丸山眞男をひっぱたきたい』を執筆した赤木が、ナショナリズムに期待していたこととは? 「格差」はいま、どこにあるのか。東日本大震災以降「被災者でない者」の苦しみはどのように扱われているのか。「絆」に含まれる人々と、含まれない人々。赤木についても触れられている、萱野稔人著『ナショナリズムは悪なのか』を基にトークを展開する。

> 萱野稔人『新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか』(NHK出版新書)