ナノ粒子のin vivo毒性評価実験

--- 2006年10月22日

 ナノ粒子の毒性を評価する実験結果は、日本のメディアが最近報道したものはin vitro、すなわち培養細胞などを用いた試験管内実験が多いが、in vivo、すなわち生体での実験もそれなりに行なわれているようだ。
 少し古いが、『サイエンス・ニュース・オンライン』が昨年3月の毒性学会の様子を伝えている。ご参考までに。06.10.22

ナノ・ハザード:わずかな粒子への曝露が肺や循環系を害する。 Nano Hazards: Exposure to minute particles harms lungs, circulatory system

ジャネット・ラノフ

 現在、産業の寵児であるナノマテリアル〔ナノ素材〕は、化粧品からエレクトロニクスにいたる製品に姿を見せている。しかしながら、新しい動物実験は、そうした微細な球体やチューブの吸入は、大きなトラブルを起こしうることを示唆している。とりわけそれらを製造し、扱う労働者に対して。
 このメッセージは先週〔2005年3月〕、ニューオルレアンで開かれた毒性学会の会議で、騒々しく駆け抜けた。そこでは、何十ものレポートが、ナノ汚染物質がどのように身体と相互反応するかについての詳細を露わにした。多くの研究は、肺への曝露の影響について注目した。というのは、それらはその粒子のサイズ----直径10億分の1、2メートル----のおかげで、最も傷つきやすい肺の組織に到達できるからだ。
 ヒューストンにあるNASAのジョンソン宇宙センターのジョン・T・ジェイムズとその同僚は、マウスの呼吸器にナノ粒子を注ぎ込み、1週間および3週間の後、その齧歯類を調べた。煤様のカーボンナノチューブが何の害も起こさなかったのに対して、同じ体積の、商業的に利用可能なカーボンナノチューブは著しい肺の傷害をもたらし、数匹の動物を殺しさえした。
 とくにわかりやすい影響の1つにおいては、マクロファージと呼ばれる免疫系細胞がナノチューブを捕らえたのだが、すぐ死んだ。その次にみられた炎症は、ナノチューブを埋め込んだ、肉芽腫と呼ばれる斑点をつくることによって肺の組織を傷つけた。
 ジェイムズは、彼のチームが使った量を「とんでもなくありえないものではない」と表現する。吸入される炭素の現行の国の基準では、労働者らは、身体の大きさに合わせると、17日間で、同等の量を受け取ると彼は推測する。
 西バージニア州モーガンタウンにある国立労働安全研究所のペチア・シメオノバと彼女の共同研究者らもまた、同様の量のカーボンナノチューブを与えられたマウスで、粒子の詰まった肺の肉芽腫を観察した。研究者らは、心臓やその大動脈の中のミトコンドリアDNAへの傷害も計測した。ミトコンドリアの傷害は、アテローム性動脈硬化の始まりを予兆する。
 ナノチューブに曝露されたマウスは、少なくとも6カ月持続する、相当量のDNAの傷害を示した。シメオノバはまた、動物の心臓や大動脈、肺のなかで、相当量の酸化的損傷----また別のアテローム性動脈硬化のリスク----を報告した。
 この会議では、鳥取大学(日本)の島田章典が、肺から血液に移行するナノ粒子を描写する、一連の画像を示した。マウスの肺の小さな気道に接触する1分間のあいだに、炭素のナノ粒子は、表面の細胞のあいだの小さな割れ目に集まり、毛細血管のなかに潜伏した。
 そこでは、陰電気を帯びたナノ粒子が赤血球に接着していた。それは通常、陽電気を帯びているのだが。もしこの接触が血液細胞の表面の電荷を逆転させるのならば、それは凝集-----さらには血液凝固---を促進しうる、と島田は推測する。
 ロチェスター大学(ニューヨーク)の研究者らは、炭素のナノ球体を吸入したウサギで凝固の感受性が増加することを報告した。同チームは、動物の耳にレーザー光をあてることによって、血管を損傷し、次に、それが凝固を形成するまでにどれくらいかかるかを計測した。
 悪質な都会の大気汚染を模倣するために、研究者らは、最高3時間、1立法メートルあたり70マイクログラムのナノ球体を含む空気をウサギに与えた。この方法においては、凝固は、きれいな空気を吸っている同じ動物で2日前に行なわれた試験でそれが見られたあいだの半分以下で起こった〔訳文自信なし〕。この影響は曝露のすぐ後に現れ、ナノ粒子は、肺から凝固因子を運ぶというよりもむしろ、肺から血流へと移動することを示唆している、とアリソン・エルダーは報告している。
 ナノ粒子の潜在的危険を認める研究者の多くは、工業界は数え切れないほどの有毒で危険な物質を安全に使っていることを指摘する。「重要なのは〔曝露〕量です」と、スコットランドにあるアバディーン大学の名誉教授アンソニー・シートンはその会議で言った。もし工業界が労働者への曝露を低く抑えれば、問題は少ないだろう、と彼は言う。

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