英国人の見た日本のフリーランス・ジャーナリスト

--- 2006年10月10日

 最近なぜか、日本語の話せる外国人と話す機会が増えているのだが、先日、在日イギリス人ジャーナリスト、トニー・マクニコルさんが日本のフリーランス・ジャーナリストの現状を取材して書いた記事が「ジャパン・メディア・レビューJapan Medeia Review」のサイトにアップされた。

 タイトルは「フリーランス・ジャーナリストたちの前に立つ壁」。残念ながら僕のコメントは採用されなかったが、僕の知人では、加戸玲子さん、北健一さん、三宅勝久さんが登場している。彼らが登場する部分と最後の一段落だけ仮訳しておく。

Walls in Front of Freelance Journalists
フリーランス・ジャーナリストたちの前に立つ壁

 毎月、ライターや編集者、ジャーナリスト、アーティストたちのグループが、東京の中央、御茶の水に集まる。「出版ネットワーク」ユニオンは200人の会員を抱え、フリーランスのライターや編集者に特化した、日本唯一の労働組合である。その会員のなかには、北健一のようなフリーランス調査報道記者も多くいる。北は、日本でよく知られた調査報道記者のなかには、主要なメディア企業の外で働く者がいるのだが、全体的に見ると、日本では調査報道はあまりに少ない、と言う。「メディア全体で見れば、間違いなく不十分です」と彼は言う。

 北は、日本で問題になっている消費者金融企業について、週刊誌に書いている。彼は、週刊誌はフリーランサーに強く依存している、と言う。北のような有名なライターたちは、自分自身の署名欄を持つことになる。そのほかの記事は、記者チームの取材によって成り立ち、無署名で発表される。フリーランサーたちは、スキャンダルや芸能ニュース、政治批評、ゴシップ、噂といったように何にでも取り組むが、積極的な調査報道も行なう。北はそれと、日本の一般紙の無個性なつくりと対比する。「新聞記事の約半分は何らかの発表にもとづいているのは事実です」
〔略〕
 もう1人の調査報道記者・三宅勝久は、2003年に同じ会社〔武富士〕に訴えられ、1億1000万円(93万5000USドル)を払うよう求められた。こうした破産をもたらしかねない圧力は覆されたが、武富士からの賠償を求める三宅の反訴がいまも進行中である。
〔略〕
 もしフリーランサーが名誉毀損で訴えられたり、その雇用者と問題を起こしたら、得られるサポートは少ない。組合に入るフリーランサーはとてもわずかだ。出版ネットワークのメンバー、加戸玲子によれば、フリーランサーの多くは、日本の集団志向的な労働環境から意識的に抜け出てきたからだろうという。「多くの日本のフリーランサーは、どんな組織のなかにも入ることを望まないのです」と彼女は言う。「彼らは一匹狼なのです」
〔略〕
 調査報道ジャーナリストにとって、その取材----そして日本における完全に自由な報道----を阻む公的な壁は、確かに強く立ちふさがっている。しかしそこでもまた、いくつかのひび割れが見え始めていないだろうか。

 記事は、ここに訳出した部分以外では、警察批判で有名な寺澤有さんや、やはり武富士批判で知られる山岡俊介さんなどの活動を紹介している。ご参考までに。それにしても、最後の1センテンスがカッコいい。06.10.10

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