広告に見る「Disease mongering」

--- 2006年11月25日

 以前、「みずもり亭日誌」で、「Disease mongering」という言葉が、英語圏のジャーナリズムやアカデミズムではかなり話題になっていて、国際会議まで開かれている、と書いた。

 この言葉の日本での浸透度はいまいちで、定訳もないのだが、あえて訳せば「病気屋稼業」というところだろう。類義語として、「Selling sickness」という言葉もある。これはレイ・モニイハンほか著『怖くて飲めない!』(ヴィレッジブックス)という本の原題でもある。
 Disease mongeringの実例としては、最近話題の「メタボリック・シンドローム」などがよく挙げられるが、ここではもっと卑近な例を見てみよう。
 テレビを観る習慣がない僕の目にも、広告は嫌というほど飛び込んでくるのだが、そのなかにもDisease mongeringと呼べそうな現象が見られる。

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 左は、『朝日新聞』今年10月22日付に掲載されたキッセイ薬品工業の広告。治験への参加者を求めている。右は、同10月25日付のファイザーの広告。こちらは「かかりつけ医」への「相談」を促している。
「オシッコが、我慢、できない!」ことはいまや「過活動膀胱」という立派な病気なのだそうだ。「え、「トイレが近い」も病気なの?」と聞きたくなるのはこっちである。

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 一方、これは地下鉄の神保町駅で見つけた万有製薬の広告。毛が薄くなることも、年齢のせいだとあきらめることなく、医療の対象になることだと消費者を啓蒙したいらしい。
 いうまでもなく、Disease mongeringとは、医療社会学でいうところの「医療化medicalization」の究極であろう。
 よけいなことだが、トイレが近いこともうす毛も、みごとに僕にあてはまる。そんなことでクスリなんかにカネ使ってたまるか。06.11.25

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