NASガイドライン勧告

--- 2008年09月26日

 ごぶさたしています。こちらでは。
 近日中に収録、公開予定の「JCcast第20回」では、僕は、ES細胞研究における倫理問題について話題提供する。

 そのなかで、NAS(全米科学アカデミー)の「ヒト胚性幹細胞研究のためのガイドラインGuidelines of Human Embryonic Stem Cell Research」について言及する予定なのだが、同ガイドラインは「勧告」として、研究者が胚の提供者に対して説明すべきことをまとめている。
 以下、ロバート・ストライファーの論文の表組みから、僕が抜粋・翻訳したものを、資料として掲載する。ご参考までに。08.9.26
 

NASが共有されるべきだ勧告する情報

1.患者はヒトES細胞研究に胚を提供する義務を持たない〔こと〕。
2.患者はその胚のケアや処分にさまざまな選択肢を持つ〔こと〕。それには、後の利用のために冷凍すること、生殖的利用のために他者へ提供すること、研究利用、研究利用することなく廃棄すること、が含まれる。
3.胚ドナーは樹立までは撤回の権利を持つ〔こと〕。
4.その胚盤胞はヒトの移植の研究を含むかもしれない研究のために、ヒトES細胞を樹立することに使われることになる〔こと〕。
5.その提供は自己(自家)移植の提供の場合を除き、誰が分化された細胞の移植のレシピアントになるのか、どんな制限も指示もなくなされる〔こと〕。
6.ドナーのアイデンティティは、結果として生じるヒトES細胞株が由来する人、もしくはそのES細胞で研究する人にとって、たやすく知ることができる/できない〔こと〕。
7.もしドナーのアイデンティティが保持されるのだとしたら(たとえそれが暗号化されたとしも)、ドナーはその細胞株の研究を通じて得られた情報を受け取るために、将来、コンタクトされることを望むかどうかを決めることになる〔こと〕。
8.研究プロジェクトの参加者は、応用可能で適切な最良の行為に従うことになる。細胞や組織の提供、採取、培養、保存のために。とりわけ幹細胞の追跡可能性を確かなものとする〔こと〕。
9.樹立されたヒトES幹細胞および/または細胞株は、長年、維持されるかもしれない〔こと〕。
10.ヒトES細胞および/または細胞株は、細胞の遺伝子操作や、動物モデル〔実験動物〕におけるヒトと非ヒトとの混ぜ合わせを含む研究に使われるかもしれない〔こと〕。
11.ヒトES細胞株の研究結果は商業的な可能性を持つかもしれず、またドナーは、どんな将来の商業的な発展からも金銭的もしくはどんな利益も得られない〔こと〕。
12.研究は自己(自家)移植の提供の場合をのぞき、ドナーに直接的な医療的利益をもたらすことはない〔こと〕。
13.胚はヒトES細胞を樹立する過程で破壊されることになる〔こと〕。
14.研究への胚提供に同意しても拒否しても、ドナー候補者に提供されるどんな将来のケアの質に影響を与えることはない〔こと〕。
15.ドナーにとってのリスクは特定されている〔こと〕。
16.ドナーはヒトES細胞研究のある形態に参加し、別のものにはしないという選択肢を持つ〔こと〕。
(Robert Streiffer, "Informed consent and federal funding for stem cell reserch", Hasting Center Report, May-June 2008, p.45 粥川準二による抜粋・仮訳)

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