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2006年05月19日

 ■ 書評 『若者殺しの時代』堀井憲一郎

小学校低学年の25%「お金が一番大切」
 ……どうせまた、くだらないことを言い出す香具師がいるんだろう。

“ヒルズ族”などが話題になる中で、中高生の5人に1人は「お金持ちはかっこいい」と考えている。

 このたび経団連会長を退いた、このサイトの扉絵を飾っていただいている奥田……おっとO田碩や、新会長となったお手洗い(笑)さんも「お金持ち」だろう。堀江ではなくて、彼らをビジョンに抱くなら、それはOKなのか?

書評 『若者殺しの時代』堀井憲一郎

 こういう本を社会学者やジャーナリストを名乗る人たちは多分読まないんだろうけど、ハッキリ言う。この本には80年代の軽薄さのすべてが描かれている。ということは、すなわちバブルの発生と臨界を描いている重大な本だということだ。
 80年代をこれほどまでに明確にえぐった本はない。というか、80年代を覚えている人は、絶対にこんな本を書きたがらない。
 なぜなら、80年代というのは、バブル期を過ごした全ての大人にとって「忘れてしまいたいほど恥ずかしい時代」であるからだ。そんな恥ずかしい時代の事を思い返しても誰も得をしない。そして実際に80年代を頭の中から消し去ったうえで「最近の若者は」などと偉そうな事を言いたれている。
 しかし、80年代に中高の多感な次期を過ごした団塊ジュニア世代である我々は、当時の大人の軽薄さをけっして忘れてはいない。

 ところでさっきから軽薄軽薄と連呼しているが、「80年代の大人が軽薄であった」ということの本当の意味を分かっているだろうか?
 それは、「当時の大人がバカだった」という意味ではなくて、「軽薄さによって、爆発的な経済発展が起った」という意味だ。
 すなわち当時の大人たちはどんどんバカになることで経済を発展させて行ったということだ。当時は今とはまた違った意味で「バカになれ! バカになれ!」という連呼が聞こえた時代だった。そうした時代の空気が、この本を読んで行くとありありと思い返される。

 そうした時代を思い返した上で、堀井が現代の若者に送る言葉は「逃げろ」だ。この大戦後のバカな社会を生み出した世代の一員だと見なされてしまう若者たちに対して、とにかく逃げろとくり返す。
 沈没仕掛けている巨大客船からバケツを使って水を汲み出せなどとバカなことを支持しながら、自身はワインを飲んでなにもしない右翼や左翼と比べればはるかに誠実な態度と言えよう。

 80年代を忘れたいと思っている連中は読まなくてもいいので、80年代を知らない若者たちや、プロジェクトXとかに騙されてしまった人たちに、この本は読んでほしい。
 確かに当時は、こんな「しょうもない」レベルで日本経済の大半は成り立っていたのだ。

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