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2006年06月14日

 ■ “格差問題”問題

『太田光の私が総理大臣になったら』、「ニート対策禁止法案」
 爆笑問題は、1990年に太田プロから独立した。
 しかし、そのために仕事を干され、田中はコンビニでバイト。太田は奥さんに食わせてもらっていた時代があった。
 前に「石田衣良」のところで書いたけど、バブル崩壊前の裕福なフリーターやニートは、現在のフリーターやニートの現状を、自分たちの経験から考えてしまうところがある。しかし、かつての「適当にやってても金が稼げ、いくらでも仕事を選べた」フリーターやニートと、現在の「仕事を選べず、正社員に近いレベルの仕事を押しつけられる。もちろん時給は安い」フリーターやニートとは、まったく別の存在なのです。
 結局、我々はバブル以前のフリーターやニートのいいかげんなイメージを押しつけられ、さらにはその当事者にまで批難される。つまり二重の意味で彼らに苦しめられているのです。


 ここから雑談。

 太田はビートたけしになりたいんだろうなぁ。
 太田は確実に、たけしのシニカルな態度を真似している。
 たけしのシニカルさというのは、かつて精強を誇りながら、既に弱り切った旧来左翼イデオロギーという記憶を逆手に取るものであって、強い記憶があればこそ、反左翼的なことをちらっと呟くだけでシニカル足り得た。
 しかし、現代では既に左翼が精強であった記憶などなく、たけしレベルのシニカルさを演じようとすれば、それは自ずと声高で高圧的なものになってしまう。
 ましてや、右傾化傾向の強い現在において、たけしと同じ立場をとれば、それはシニカルにはならない。

 かつて人気絶頂を誇ったビートたけしのオールナイトニッポンが放送されてた頃、何らかの原因でたけしが出られなくなって、その代役として、当時太田プロ所属だった爆笑問題が出演して、太田は同じ太田プロの若手だった浅草キッドに対して「ざまーみろ! バカクサキッド」などと罵倒したことがある。それだけ嬉しくて舞い上がったんだろう。
 しかし、太田はもう若手じゃない。そういうことをしても許される立場だった時代は終った。
 TVというマスメディアを利用できる特権階級なら、それに対する自制が必要なのだ。俺もかつては爆笑問題のファンだったのだから、せめて失望させないで欲しい。


 上記記事からトラックバックを辿ってみる。

「ニートってどうよ。」
 「正社員層」にコメントしてみた。反応待ち。

「ニートの話」
 本当はこういう企業を労基がガンガン指導して、労働者からの搾取をやめさせなければならないのです。言うなれば就職界の「都1」
 労基はこれを放置し、正社員層はそういう現実を直視しない。直視すれば自分たちの取り分が減らされるからね。

日銀総裁の村上Fへの資金拠出、問題ない=小泉首相
 ずーっと言っているが、格差問題のクリティカルな点は、「富裕層が金を儲けること」ではなく「人間としての尊厳を確立することのできない貧困層が生まれている」ことである。
 こう書くと「貧困層は富裕層に略取されている」という簡単な構図(古くさい「ブルジョアジー VS プロレタリアート」という考え方)を思い浮かべてしまう場合が多いのだが、それは全くの間違いだ。

 簡単に解説する。
 もし日本が100人の村だったら、と、どこかで聞いたような屁理屈で、日本経済を適当にモデル化してみる。
 1人の富裕層が5000万を得、69人の正社員層が500万。そして、30人の貧困層が100万を得ているとしよう。
 このとき社会における給料の総額は42500万。これを100で割ると、一人頭425万である。つまり、貧困層が325万を奪われている状況である。
 しかし、その犯人を富裕層に求めれば、おかしなことになる。
 富裕層と貧困層を平等にするために、31人で平等に均等割りしても、8000*31=約258万にしかならない。まだ正社員層と貧困層の間には2倍弱の格差が存在することになる。
 一方で、正社員層と貧困層の99人で均等割りすると、(500*69 + 100*30) / 99 =約378万になる。しかもこれならば正社員層の所得も減るのだから、貧困層が貧困では無くなる。
 私が指向する社会は、貧困が消滅する後者であって、貧困の存続を許す前者ではない。だから富裕層の逸脱など問題ではないと言っているのだ。

 まぁ、上記のモデルはかなり適当なので信じなくていい。
 けれども、少なくとも経済成長を当然のものとしてその意味を考えもせず、低成長に切り替わればそれをさも貧困層のせいだと言わんばかりの正社員層の罪を糾弾し、正すことが必要だ。貧困の撲滅はそこから始まる。

 世の中は富裕層と正社員層の間でばかり格差を論じたがる。
 そしてジャーナリズムは無理矢理「富裕層の悪」という嗜好品を庶民(=正社員層)という名の略奪犯のために絶え間なく提供し、「貧困層の発生」というクリティカルな問題から目を逸らし続ける。
 その根っこは、不審者というミニマムリスクばかりに注視し、親や交通事故といった根源的なリスク要因を無視する子供の安全論議と同じものである。

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