2006年04月24日
 ■ ぬくぬく左翼が成すべきこと

今発売中の週間ポスト2006.5.5・12号が「GWに思い起こす 日本人の本分 品性無き人々がやがてこの国を滅ぼす」という特集をしている。中身はよくありがちな俗流若者論だ。
 私が気になったのは、この特集にコメントを寄せている吉岡忍の存在だ。ちょうど若者に対する左翼の無理解、無責任について論じようと思っていたので、これを踏み台としよう。

 上記特集から、吉岡のコメントのみを抜き出す。

 今の日本の若者が政治に無関心である要因の一つに、若い人があまりにも歴史、つまり“過去の人たちの努力”を知らないことがあると思います。
 フランスでは若年者の雇用に関する法案に反対デモが起こり、政府は撤廃に追い込まれました。彼らは今の生活が、前の世代の国民が争い、勝ち取ってきたものと理解しており、今度は“政府によって自分たちの権利が奪われようとしている”という危機感が切実なのです。だからこそデモが大きくなった。

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 自分たちで権利を勝ち得てきた経験がなく、過去の人が戦ってきたということすら知らない若者は、当然、今の政策についても深く学んでいるわけではありません。知らないからこそ、“何か変えてくれそう”というだけで、強いリーダーシップを持っている人にすりよっているのです。

 このコメントを一言で断じるなら「捏造史観」ということに尽きる。
 吉岡は「過去の人たちは戦ってきたのだ」などというが、ならば現在も日本に残り、日本を縛りつけている日米安保の存在はなんなのだろう? 吉岡はかつて『ベ平連ニュース』の編集に関わっていたが、じゃあベトナム戦争反対を日本で叫ぶことに何か意味があったのか?
 どちらにしても事実が示すのは「戦ってもなんにも変えられなかった」という左翼の敗北である。日米安保はなくなっていないし、ベトナム戦争は泥沼化した結果、アメリカはベトナムから中東へ軍事力行使の矛先を変えただけのことだ。
 そんなものは、イジメられっ子が空手を習って、道場での組み手はできるようになっても、イジメられっ子であるという現状がなんにもかわりはしないのと同じことだ。それを大人になったのちに、やっぱりイジメられることになった子供に「お父さんは虐められっ子だったけど、空手を習って強くなったんだぞ」と説教しているのとなんにも変わらない。あとで近所のオジサンオバサンからお父さんの子供の頃の様子を聞いて、情けなくなるのは子供の方だ。

 日本において、唯一左翼がまともに機能したといってもいいのは、労働争議だが、それだっていわゆる「右肩上がりの経済」に飲み込まれ、バーター的に収束したに過ぎない。経済が良くなれば給料が上がるのも当然であり、その当然の構図の中に「経営者と労働者の争議」という「ゴッコ遊び」があっただけのことだ。これが正しい左翼の歴史である。
 それが戦いだというなら、2ちゃんねらーだって、左翼や在日や朝鮮や中国に対して、果敢に戦っていると言えるだろう。そして私はこうした2ちゃんねらーの戦いに賛同なんかしないのと同様に、左翼だって戦ってきたなどと思わない。左翼に「戦ってきた歴史」など一切存在しない。あったのはただの「祭り」である。ベトナム戦争のころに2ちゃんねるがあったなら、吉岡は単なる「ベトナム戦争まとめサイト」の管理人に過ぎなかっただろう。

 また、吉岡はフランスのデモの例をあげているが、私があのデモを見て特徴を感じたのは、若者の政策に対するデモであるにもかかわらず、参加年代が非常に幅広かったことだ。
 日本の場合は、国策の中心になるような政策については、幅広い年代がデモを行なったりするし、年寄り政策について若い人が借りだされている姿を見ることがあるが、若者に対する問題について、年寄りがデモに参加しているのを見たことがない。
 第一、これだけ不況の中で若者が苦境に立たされているのに、そうしたことに一切触れずに、ちょっと景気が回復したと思ったら、若者を捨て置いて自分たちのベアを優先するのが左翼である。
 左翼はよく「若者が声を挙げない」などというが、たとえば俺はこうやって声を挙げているし、後藤さんだって、ワタリさんだって、古鳥羽護さんだって、いろいろな立場から声を挙げている。それが聞こえないというなら、現行の左翼勢力がメクラでツンボというだけのことだ。

 本来、年寄りと若者の理想的な関係性というのは、若者はその思いのたけを噴出させ、年寄りはその思いを調整し、若者に叡智を与えるというものだろう。
 しかし、左翼の年寄りは若者に対し手を貸すことは一切せず、ただどっか向こうのほうから「最近の若者は」などと不満を述べているだけである。敗戦続きのくせに愚痴ばかり多い。そんな左翼を知っている若者が、左翼の方法論を鵜呑みにして、デモなどで声をあげるわけがないだろう。
 左翼がいまするべきことは、ちゃんと若者に手を貸し、彼らの意見を汲みとることである。意見はネットにいくらでも落ちているのだから、拾おうと思えばいくらでも拾える。拾えないというなら、先にも書いたように左翼がメクラでツンボなのだ。

 戦後の高度経済成長は、左翼を安定した給料をもらいながら活動をしてられるようなWin-Win構造の中で、安定して勝利を得られる「ぬくぬく左翼」にした。
 しかし、若者の戦いは、低成長の中、現行の利権勢力を切り崩し、自らの下に利権を呼び寄せるというゼロサムゲーム。すなわち戦後初、本当の意味の戦いである。
 こうした現状に対し、ぬくぬく左翼が若者に対して授けられる叡智はあるのだろうか? それを探るのが現行左翼がすべきことである。

ワタリさんのところにリンクしたついでに、オフ会の告知があったので転載。
(私は参加しません)

(この記事は転送・転載・プリント・アウトして、多くの方に知らせてください!)

非正規雇用(パート・アルバイト・派遣・業務請負・属託・契約社員・準社員)の人たちを中心にオフやりませんか。ご興味があれば正規雇用その他のお立場の方も結構です。

労働・失業・雇用・職について顔をみながら話してみませんか。

働くって何? 組織って何? あの会社は絶対おかしい、ややこしいこと言ってくる家族とか親類の対策、フランスのデモって……などなど。


くわしくは次のとおり。

2006年4月29日土曜日 1:30pm〜4:30pm
場所:紀伊国屋梅田本店
http://www.kinokuniya.co.jp/04f/d03/osaka/01.htm

の前にあるビッグマン(どでかいスクリーン)の前。(梅田の待ち合わせのメッカ。)

やること:男性は「プレカリオ」、女性は「プレカリア」、そして最後に全員で「プレカリアート」と大声で叫びます(恥ずかしい人には拒否権アリ。笑)。
これで集合沸騰、とまでいかなくても集合95℃になって、それからお茶でも飲みましょう。いきなり100℃以上だとヤケドするとよくないので。

その後、集まった人数とリクエストを見て、近場にある喫茶店もしくはカラオケまたはファミレスなどに移動します。
当日、話のネタになりそうな新聞・雑誌のコピー、サイトのプリント、おかしなことをしている会社の写真などがあれば、ご持参ください。
梅田は便利なところです。インターネット・カフェで最新の情報のプリントをとってくることもできます。

合言葉:「プレカリアート(不安定階級)」

例:「あなた、プレカリアート?」
「うん、プレカリアートだよ」

こういう答え方でも結構です。
男性:「プレカリオ」
女性:「プレカリア」
中性・両性具有:「プレカリウス」

★宗教・政治団体の勧誘、ならびに物品の販売はお断りしています。特定の信念・信仰をおしつける会ではありません。
★当日話されたプライバシーや企業秘密については、互いに尊重しあってください。


文責:ワタリ
当日のファシリテーターもワタリがやります。(ちょっと緊張)

連絡先 ardea_cinerea2002@yahoo.co.jp

まぁ、トラックバックを送る口実ですけどね。(記事に対するトラックバックはできても、サイト自体に対するトラックバックってできないんだな。よく考えたら)

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