『ブランドに恋して−日本人のブランド消費の今−』加藤晶也
「同一化と差異化の狭間で」〜日本発? 「JJ」研究!〜
さまざまなファッション雑誌を見てみても、ファッションとは「同一化」と「差異化」が混在しているものだということがわかる。今回は10代後半から20代の女性に人気のファッション雑誌『JJ』にご登場いただこう。『JJ』
は1970年代後半ごろ女子大生を中心に支持され、「JJガール」なる女性も登場し、若い世代の女性に高級ブランド志向を浸透させたとも言われている。今でもいわゆる「お姉系」と呼ばれる女性たちに支持されており、今回話を聞いた女性の多くが『JJ』を読んでいると答えた。
さて、今手元にあるのは『JJ』二月号である(男の大学生が一人で「JJ」を買うのは若干恥ずかしかった)。
この雑誌の太字で書かれているところだけに注目してみる。さまざまなスタイルが紹介さされており、今年の流行のアイテムや、コーディネートについてのアドバイスなどがなされている。その中のいくつかをあげてみよう。
「ファーで可愛さ120%の白ワンピで友達に『差をつけます』」
「着まわしの定番アンサンブルは“ひとクセ”を選んで『差をつける』」
「流行アイテムで劇的に変身するには合わせる小物や他のコとは違うディテールをセレクトするのが肝心」など他の人たちとの「差をつける」ことが重視されており、それが薦められている。また、
「ミニスカートはテーラードジャケットで大人っぽく着るのが『新鮮』」
「可愛いテイストになりがちなミニ×ブーツスタイルも大人っぽく仕上げると彼もハッとする新鮮さが出る」
といったように新鮮さもまた差をつけるための方法として、強調されているのである。ちなみにこの2月号で、太字で書かれているところに限っても「差をつける」という言葉が6回、「新鮮」という言葉が7回も使われている。「JJ」編集部もまさか「新鮮」と「差をつける」という表現を使った回数を数えられるとは思っても見なかっただろう。
その一方で、
「今度のミニ丈カーデは大人っぽく着るのが正解」
「いい女度の高い小物はやさしいパステルカラーが基本」
など、「正解」だとか「基本」を提示していつのも興味深い。そのほかにも「定番」「失敗しない」「外す心配がない」などといった言葉が多用されており、コーディネートを画一化させようとしているかのような見出しが多く見られるのも事実である。
結局みんな違っていればいいの? 一緒ならいいの? と頭が混乱してしまう。それならこの見出しはどうだろう。
「みんな持ってる7大アイテムだから知りたいあの子と差のつく着回し術」
みんな同じようなものを持っているけどそれだからこそ差をつけなければいけない、ということだろうか。
ここまで見てきた中で考えられるのは、「同一化」の過程の中で微妙な「差異化」を図ることこそが「お洒落をする」ということであり、ファッションの醍醐味だということができるのではないだろうか。
「同一化」と「差異化」を同時に図っているのは私たち消費者だけではない。当然のことながら、商品を提供する側、すなわちファッションブランドも、同様に「同一化」の過程の中で度重なる「差異化」の闘いを繰り広げているのである。