『見ないを見る−−川崎市ホームレス緊急一時宿泊施設建設を巡る声と力−−』宮田清彦


差別からの旋回
 「行政は環境整備委員会が出来たことで、愛生寮の施設の周りの環境が良くなったということを言いたい。そうすることで、モデルケースにしたい」。だったら、徹底的に利用してやろうと西井氏は言う。堤根とその周辺は、迷惑施設の集中的な受け入れを強いられ地域的差別を受けてきたと言っても良いだろう。その地区の発言力のない住民が、新しい施設の建設を機会にしたたかなまでに行政のアラを突き、ある種の政治力を確保するまでに至った。
 もちろん、ねばり強い交渉の末に施設受け入れに至った苦労は評価されるべきだろうし、政治的争点に住民が前面に躍り出ることもまれで新しい政治の可能性を読みとることもできるだろうとは思う。そして、施設を受け入れたという結果は、やはり動かしがたく評価されるべきだと言うのもうなずける。

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