インターネットを使った選挙運動を解禁する改正公職選挙法が可決・成立した。夏の参院選以降、地方選挙も含めて適用される。
選挙関係の情報提供で絶対に守られるべき原則は、今も昔も変わらない。「機会の平等」だ。限られた出自の人しか立候補できない、当選できないとなれば民主主義は選民主義に変わってしまう。
たとえば公職選挙法の政見・経歴放送は、候補者と届出政党が政見を無料で録音、録画できるとし、資力の多寡で政見公開の条件に差が生じないようにして来た。街頭演説や選挙区巡りの体制では立候補者の立場や資力によって差がついてしまうのは避けられない。それでも、せめて最低限の「機会の平等」を政見・経歴放送で担保するという考え方がそこに踏まえられている。
しかし、こうして立候補者にとって政見公開の平等が確保されている一方で、投票を行う一般市民の側の情報アクセスの機会平等が今や危うくなった。ライフスタイルが多様化し、特に若い世代は決められた時間に放送される政見・経歴放送に触れることが難しく、自分の生活パターンに応じてオン・デマンドで政見や経歴情報にアクセスできる回路が必要となっていた。